生活習慣
「寝ても寝ても眠い女性」はなぜ?考えられる原因と対処法を解説!
- 睡眠
2024.01.26
夜は十分寝ているはずなのに「寝ても寝ても眠い」と感じることはありませんか?この眠気は、疲労の蓄積や睡眠不足だけでなく、生理や更年期障害が理由でおこるなど女性特有の原因も多いのです。眠くなる原因や、潜んでいる病気など眠気の原因、対処法を紹介します。
- 女性が「寝ても寝ても眠い」状態になるのはなぜ?
- 女性が「寝ても寝ても眠い」原因は?
- 異常な眠気は病気のサインのことも
- 「寝ても寝ても眠い」状態を改善するにはどんな対策があるの?
- 寝ても寝ても眠いときの眠気覚まし
- 質の高い睡眠を取るためにはどうしたら良いの?
- まとめ
女性が「寝ても寝ても眠い」状態になるのはなぜ?
「寝ても寝ても眠い状態」は、女性特有のものなのでしょうか。
しっかり寝ているのに昼間に眠気を感じてしまう原因は「過眠症」などの病気のほか、生活習慣や睡眠の質によるもの、ホルモンの乱れなどさまざまです。
女性特有の症状が原因なの?
女性は、月経や妊娠・出産、閉経、更年期障害などホルモンバランスの変化にさらされています。そのため、ホルモンバランスの影響を受けて、女性特有の「異常に眠い」という症状が発生してしまうのです。
女性が「寝ても寝ても眠い」原因は?
女性が寝ても寝ても眠い原因としてどんなことが考えられるでしょうか?年齢や環境によってさまざまな理由が考えられますが、おもなものを上げてみました。
生理前の眠気、PMS(月経前症候群)
生理前に異常な眠気に襲われることがあります。
眠気に影響を与えるものとして、おもに「体温」「自律神経」「GABA」「セロトニン」があげられます。
原因 | 眠くなる理由 |
---|---|
体温 | 生理前は体温が高くなるため寝付きが悪くなり眠りの質が低下して、質の良い睡眠が取れない。 |
自律神経 | 睡眠中は、体を休めて回復させるように働く副交感神経が優位になるが、生理前は副交感神経を優位にするエストロゲンの分泌量が減少するため、心や体が活動的な状態が続き、寝つきが悪くなってしまう。 |
GABA | 脳の興奮を鎮めたり緊張やストレスを和らげたりする働きをもつアミノ酸の一種の「GABA」が、生理前に減少することで、不安な気持ちが強くなりその不安感が不眠につながる。 |
セロトニン | 生理前には、幸せホルモンと呼ばれる脳内物質「セロトニン」の分泌が減少。セロトニンは、不安や緊張を和らげる働きがあるだけでなく、睡眠を促すホルモン「メラトニン」の原料でもある。そのため、セロトニンの分泌が減少する生理前は眠るときにリラックスできず眠りの質も下がってしまう。 |
このほかにも、「月経前症候群(PMS)」の可能性も考えられるでしょう。月経前症候群は、生理前のエストロゲンとプロゲステロンというホルモンの急激な低下により、さまざまな精神的・身体的に不調な状態になることです。このホルモンの影響で眠気も強くなると言われています。あまりにもつらく、日常生活に支障をきたす場合は婦人科を受診しましょう。/p>
妊娠中は寝ても寝ても眠い状態が続く
妊娠の前期には、体を安静にしようとプロゲステロンが活発に分泌されるため、日中の眠気が強くなる傾向にあります。妊娠中期になると、血液中の栄養や酸素が胎児に送られ、母体は貧血気味になることから眠気を感じるのです。妊娠後期から臨月までは、疲れやすいことや、胎動、頻尿、腰痛などのために眠りの質が落ちることから、日中に眠気を感じてしまいます。
妊婦さんが異常に眠いと感じるのは、妊娠に伴う生理現象の一つとも言えます。「今は体を休める時期」と割り切ってしっかりと体を休めましょう。
更年期の女性の眠気
更年期とは、「閉経の前後10年間をあわせた期間」のことを言います。具体的な年齢は個人差がありますが、一般的には45〜55歳ごろの期間です。
閉経すると女性ホルモンのバランスが崩れやすくなり、さまざまな不調があらわれやすくなります。このホルモンバランスの影響であらわれる症状のことを「更年期障害」と呼び、強い眠気も症状の一つです。
閉経を迎えると、女性ホルモンの一つ「エストロゲン」の量が急激に少なくなり、自律神経が乱れます。自律神経は眠りの質を左右する神経系で、バランスが崩れると、交感神経が優位になりやすくなり眠りの質が下がりやすくなるため、睡眠不足の状態となってしまうのです。
また更年期には、のぼせや動悸、めまい、頭痛、イライラ、不眠といった症状が現れます。更年期障害の症状がつらい場合は専門医の診察を受けましょう。
ストレスや自律神経の乱れ
ストレスを感じていると、自律神経の乱れから脳や体が興奮状態になって眠りにくい状態となります。
たとえ眠れたとしても、脳の疲労を回復させる深い眠りの「ノンレム睡眠」の状態が少なくなるため、日中に寝不足な状態となってしまうのです。
生活リズムの乱れ
質の良い睡眠には、毎日決まった時間に寝て、決まった時間に起きる、といった規則正しい睡眠リズムが大切です。しかし、シフト制の勤務や夜間勤務など日々違う時間帯で仕事をするなど不規則な生活リズムが続くと、睡眠のリズムが整わず快眠しにくい状態になってしまいます。
病気によるもの
夜間に十分な睡眠を取っているにもかかわらず、日中に起きていられない強い眠気が連日のように続く場合は、「過眠症」などの病気が原因の可能性もあります。気になるときは早めに専門医の診察を受けると良いでしょう。
異常な眠気は病気のサインのことも
睡眠時無呼吸症候群
大きないびきとともに、睡眠中に何度も呼吸が止まる病気です。
睡眠中に無呼吸がおきると、体が低酸素状態となります。低酸素状態になると、脳が防衛的に目覚めて、呼吸が再開しますが、この状態が繰り返し続くと熟睡できず睡眠不足になります。
そのため日中に突然強い眠気があらわれ、仕事中でも運転中でもお構いなしに急に居眠りしてしまうことがあるのです。
2003年、新幹線の運転士が居眠りをしたまま時速270kmで約8分間走行するという事象や、2012年に発生した関越自動車道高速バス居眠り運転事故はいずれも睡眠時無呼吸症候群が原因で発生したものです。睡眠時無呼吸症候群の治療は、重症度に応じて適切な治療法が選択できるようになっています。/p>
過眠症
日中に過度な眠気があり、眠気の原因となる明らかな体疾患や内服薬などがない場合は過眠症が疑われます。過眠症のおもな症状は「ナルコレプシー」「突発性過眠症」「反復性過眠症」などがあります。
過眠症の種類 | おもな症状 |
---|---|
ナルコレプシー(居眠り病) | 日中に強い眠気と居眠りが繰り返し生じる病気。食事中など通常は眠らない状況でも居眠りをしてしまい日常生活に支障をきたすこともある。 |
突発性過眠症 | 日中に眠気と居眠りを繰り返し、眠り込むと目覚めるまで1時間以上眠るのが特徴。目覚めの際に爽快感がなく、目覚めること自体が困難で、無理に目覚めさせると時間や場所が分からなくなることもある。 |
反復性過眠症 | 1日の大半を眠り続ける状態が3日から3週間続き、いったんは自然に回復してまったく症状がなくなるが、また突然同じような眠気に襲われる。目を覚ましても夢を見ているような非現実感があり、食欲の増進または減退などをともなうこともある。 |
非定型うつ病
「非定型うつ病」は『お天気屋うつ病』とも言われ、沈み込んだ状態が続くものの、楽しい出来事があると、たちまち元気になります。しかし、長続きはせずまた憂うつな気分に戻っていくのが特徴です。
そのほかにも過食に走って体重が増えたり、いくらでも眠れたりするなど、従来の『うつ病』とは正反対の特徴を示します。
圧倒的に女性に多く見られ、10〜30代女性のうつ病の多くが、このタイプではないかと言われています。
病気を疑うときには何科に行けば良い?
病気を疑うときには、ホルモンバランスが原因と思われるとき「婦人科」を受診、過眠症などの不眠症が考えられるときは精神科や心療内科など「睡眠障害を専門にしている病院」を受診しましょう。
症状に不安があるものの初めての病院に行くのが不安な方は、かかりつけの医師に相談して適切な病院を紹介してもらうと安心です。
「寝ても寝ても眠い」状態を改善するにはどんな対策があるの?
「寝ても寝ても眠い」状態を改善するために日常生活でおこなえる対策として、運動や食事、睡眠の質の向上などがあります。
1.適度な運動
散歩や軽いジョギングなど適度な運動を毎日続けると寝付きが良くなり、質の良い睡眠が得られるようになります。
激しい運動は逆に睡眠を妨げますので、散歩や軽いジョギングなどの有酸素運動が良いでしょう。眠る3時間くらい前の運動が眠りに効果的と言われています。
2.食事
いくら寝ても疲労が回復しない場合は、エネルギー不足も考えられます。
疲労回復にはバランスの取れた食事が必要です。特に糖質・脂質・タンパク質の三大栄養素と、これらをエネルギーに変えるビタミンB群は意識して摂るようにしましょう。
睡眠を促し自律神経のバランスを整えるセロトニンの分泌量を増やすために、朝食にはタンパク質を摂ることが大切です。豆腐や納豆などの大豆製品、牛乳やチーズなどの乳製品、卵、赤身の魚などのタンパク質をとることで、昼にセロトニン、夜には睡眠を促すメラトニンになるので、ぜひ朝食メニューに取り入れて下さい。
逆に生理前などには、ランチのメニューに眠気を誘うものは避けるようにしましょう。たとえば、避けたい物として血糖値が上がる炭水化物がメインのものや、脂質が多いものが上げられます。手軽にとれる一品料理よりは定食スタイルがおすすめです。
3.睡眠の質を向上
どんなに長い時間眠っても、眠りの質が低ければ日中の眠気は解消されません。睡眠の質を向上させるために、就寝の2〜3時間前までに食事を終える、就寝前はカフェインや喫煙を控える、アルコールは飲み過ぎないなど自分なりにぐっすり眠れる環境を整えましょう。
寝ても寝ても眠いときの眠気覚まし
どんなに気をつけてもどうしても眠くてたまらないときはあります。そういったときの眠気覚ましをご紹介します。
1.冷たい水や冷たいおしぼりを顔にあてる
眠いときには、冷たい水で絞ったタオルを顔や首に当ててすっきりさせましょう。眠気対策として職場に冷蔵庫があるなら濡らしたタオルを冷やしておくとより効果的です。さらに、冷却スプレーや冷却ジェルなども眠気を覚ます強力なアイテムとなります。
2.ストレッチ
人間は同じ姿勢が長時間続くと、筋肉が緊張し硬直した状態になり、血行不良に陥り、眠気につながってしまいますので、ストレッチで体を動かしましょう。ストレッチは「背伸び」が簡単で効果も期待できます。可能ならば立って背伸びをすることでより体がすっきりするでしょう。
3.水分やブドウ糖を摂る
水やお茶を飲むことも眠気覚ましには効果があります。水は常温よりもある程度冷えた状態のほうが、体に刺激を与え脳も活性化します。
コーヒーや緑茶も眠気を覚ますのにおすすめです。緑茶は他のお茶に比べてカフェインの含有量が多く、そのなかでも特に玉露はカフェインの含有量が高いので眠気を覚ますのに最適です。
また、体内の血糖値が低下したときにも眠気の症状が現れます。そんなときには、ブドウ糖での低血糖状態を改善しましょう。
4.昼休みなどを利用して軽く昼寝
眠気が強いときは、無理せず思い切って昼寝するのも一つの手です。ただし、夜の睡眠に影響しないように、正午から14時くらいの間に昼寝をして16時以降の昼寝は避けましょう。眠る時間は30分以内で、デスクにうつ伏せか椅子にもたれかかって浅めの睡眠になるようにしましょう。
また、昼寝の前はホットコーヒーを飲んでおくと胃が温まって一時的に寝つきがよくなるだけでなく、カフェインの作用により目覚めた時にすっきりと起きられます。
5.ツボを押す
静かなオフィスや会議室など動きが制限されているなかで眠気が来たときには、眠気覚ましに効くツボを押すのがおすすめです。指で耳たぶをつまんで、少し引っ張るだけでも眠気覚ましには効果的です。
また、手のツボとして親指と人差し指の付け根の部分にある骨と骨の間のくぼみや、手のひらの真ん中などがあります。さらに、足の裏を刺激するのも有効な眠気さましの方法です。
最近では足裏のツボが押せるマッサージシートなどが販売されていますので、デスクワークのときにこのシートを活用するのも効果的な方法でしょう。
質の高い睡眠を取るためにはどうしたら良いの?
寝ても寝ても眠い状態から少しでも改善するためには、質の高い睡眠を取ることが大切です。 質の高い睡眠を取りやすくなる環境を整えるために、これらのことを意識して生活してみましょう。
1.朝、太陽の光を浴びる
朝、日光を浴びると体内時計がリセットされ、セロトニンの分泌が促されます。質の良い睡眠を促すメラトニンは日光を浴びてから約16時間後に分泌されると言われていますので、目覚めたらまずカーテンと窓を開けてしっかりと朝日を浴びるようにしましょう。
2.日中に運動をおこなう
日中運動することで質の良い睡眠を促します。仕事のため運動する時間がないという方は、なるべく階段を使う、時間があるときは最寄り駅の一つ前の駅から歩く、車ではなく自転車を使うなど工夫をして体を動かしましょう。
3.入浴して体を温める
夜、眠気が訪れるのは体から熱が放出されて体の内部の温度が下がっていく状態のときです。寝る2時間くらい前に、38〜39度程度のぬるめのお湯に入ってリラックスしながら体を温めて下さい。湯船に浸かる時間がないときは、シャワーで冷えた体を温めると良いでしょう。
4.就寝30分前には、パソコンやスマートフォンの使用をやめる
パソコンやスマートフォンの光にはブルーライトが含まれています。ブルーライトが目に入ると、脳が日中であると判断し、睡眠ホルモンと呼ばれるメラトニンの分泌が始まらず、なかなか寝付けず、睡眠の質を下げる大きな原因となっているのです。寝る30分前にはパソコンやスマートフォンを触らないようにし、それでも眠れないときは本を読むなどにとどめましょう。
5.心が落ち着く音楽やアロマテラピーを取り入れる
寝る前には、心が落ち着くお気に入りの曲を聴くことや、リラックスできるアロマテラピーの香りを感じることなども良質な睡眠につながります。
たとえば、心が落ち着くからと言って大好きなベビーメタルなどは聞かず、クラシックやヒーリング音楽など静かな音楽を聴き、リラックスしましょう。
またリラックスできるアロマとしては、緊張やストレス感を和らげ、気持ちを落ち着かせてくれるラベンダーやリラックスとリフレッシュ、両方の効果を持つと言われているベルガモット、不安を払拭し心安らかにしてくれるサンダルウッドなどがおすすめです。
まとめ
寝ても寝ても眠い状態についてご紹介しました。女性独特の症状が原因のこともあれば病気が原因のこともあります。気になるときには早めに受診するなどして、質の良い睡眠を得るようにしましょう。
女性特有の眠気を日常生活の改善で和らげよう
女性特有の眠気は、ホルモンのバランスの影響もあり、どうしてもつきあっていかないといけないものでもあります。自分なりの眠気があるときの対処法を見つけ、できるだけ眠気に振り回されない生活を送りましょう。